伴侶動物を守るために

原子力災害時の伴侶動物の救護や保護には、飼い主の方、獣医師、自治体の連携がとても大切です。飼い主の方は、伴侶動物の特徴や習性だけでなく、周辺の地域の地形、避難場所や交通事情を最も知っておられます。今回の事故では、放射線に関するさまざまな情報や風評によって非常に混乱しました。日頃から、災害時にはどうすれば伴侶動物を守ることができるか、心がけておいて頂ければと思います。狂犬病の予防注射を受けることによって、狂犬病の予防だけでなく、自治体に伴侶動物の個体の特徴が記録されますので、災害時の個体識別に非常に役立ちます。注射時に受け取った注射済札は伴侶動物の首輪につけるか、注射の記録日時などの記録をお願いします。

本会の会員は開業獣医師で、伴侶動物の健康や病気について多くの経験を持っております。また、日本獣医師会の策定した「災害時動物救護の地域活動マニュアル策定のガイドライン」に従って、「動物救護活動マニュアル」を、さらに原子力災害時の救護活動マニュアルも策定しております。さらに、災害時の救護や保護活動には、自治体の避難ルート、保護の場所、個体記録など、そして医療機材やペットフードの会社の支援も必要です。すなわち、伴侶動物を救護するためには、飼い主のかた、獣医師、自治体の連携が重要です。本会では、災害時の救護活動について、セミナーの開催や会合でさまざまな検討を進めています。

今回の原発事故でこれまで得られた教訓は、できるだけ多くの家族の一員である伴侶動物を救うためには、自治体、獣医師、飼い主の方の普段から危機意識および連携への関心です。本会では、今後も自然災害や原子力災害時の動物救護のあり方について、飼い主の方と一緒に検討を重ねていきたいと思っております。

平成24年4月10日