動物診療に関する優先順位
大規模災害直後は、どの施設も混乱が予測され、同時に負傷、傷病動物が来られた場合に、緊急度・重症度によって治療の順番を決めなければ、より多くの動物を救う事ができなくなります。災害時に優先的に診察する趣旨をご理解のほど宜しくお願いいたします。
「トリアージ」(リボンの識別は、災害時の判断を表します)
[第1順位]赤色リボン:生命に危険のある最優先治療群
[第2順位]黄色リボン:生命に危険はないが、入院・手術が必要な準救急治療群
[第3順位]緑色リボン:軽症動物の治療保留群
この度発表された国(環境省)の「災害時におけるペット救護対策ガイドライン」の改訂によって、飼い主様や自治体の対応が変更かつ明確にされました。
すなわち、災害発生直後の動物保護や救護は、人命優先が前提であり、被害状況によって飼い主様の判断で避難所へ同伴するか、自宅にとどまる選択をすること、そして、地域の対応責任は自治体に委嘱されることとなりました。
大災害直後に治療が必要な動物が出たときの本会々員動物病院の対応については、すでにマニュアル(本会のホームページに掲載)や講習会等でお知らせしております通り、いち早く、会員の診療施設の損壊状況を各支部単位で把握し、連絡網を駆使して本会として災害救護活動を推進することとなっております。
また、本会の救護活動期間は短期間ですが、災害直後から会員診療施設をシェルターとしてそのまま使えることと、診療器材が揃っている事などにより、診療施設の損壊状態にもよりますが、救護活動が何処よりもいち早くできる事が特徴です。即ち、行政機関・動物愛護団体・ペット災害対策協会・日本獣医師会・日本小動物獣医師会等々の救護活動が開始されるまでの期間として、災害直後から 10 日間程度を見越しております。
これまでの災害では、阪神・淡路大震災・東日本大震災・熊本地震等の救護活動報告などは、前記各種団体が救護活動を開始できたのは、災害から 5 日~1 ヶ月後となっております。なお、災害直後から救護活動を開始した団体も報告されてはおりますが少数で、救護活動の空白期間を少しでも無くし、飼い主様に安心して頂けるよう、本会の会員病院をシェルターとして、災害直後から期間限定の活動を始める事といたしました。大規模災害直後は、どの施設も混乱が予測され、同時に負傷、傷病動物が来られた場合に、緊急度・重症度によって治療の順番を決めなければ、より多くの動物を救う事ができなくなります。ただし、優先順位を付けて診療する基本方針と判断基準は、これまで通りで何ら変わりなく、本会の救護マニュアルの通りです。災害時においてトリアージ(優先順位)を実施することは、動物愛護の精神を遵守しながら、多数の負傷、傷病動物を救うため、効率的に適切な処置を行うために必要とされています。順位は、負傷、疾病動物の総数、応急処置能力、収容能力等を把握の上、状況に応じて臨機応変に下記の通りその都度判定いたします。災害時に優先的に診察する趣旨をご理解のほど宜しくお願いいたします。